概要
労働者と使用者で交わす協定を労使協定といいますが、よく聞くのは残業に関する36協定かと思います。
実際に、同一労働同一賃金にて交わす労使協定の内容とは、有期・パート・派遣等の非正規雇用者の賃金水準を、従事する業務内容の一般的な賃金水準に合わせましょうというものになります。
賃金水準
その賃金水準の基盤となるのが、厚生労働省にて発表された局長通達①~④となります。以下厚生労働省ガイトラインhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html
局長通達別添①の職種別平均賃金、または別添②の一般基本給に賞与額をプラスした基準値のどちらかを使用し賃金水準を決定していきます。
別添①に関しては大まかな業種の記載となり、多くの企業では別添②が使われるかと思います。
その別添②を見てみると様々な業種の基本時給(賞与込み)の基準値が記載されていますので、自社の業種または派遣を活用する部署の業種に合わせて基準値を決めていきます。
別添②には業種の種別として、大分類 中分類 小分類と別れます、大分類は文字通り大まかな分類、以下詳細な職業となっています。
大分類を使用し労使協定を交わす場合、別の職種で労使協定を交わす場合、中小分類を使用することは出来ない為、小分類を活用する企業が多い印象です、特に派遣会社に関しては派遣先の業務内容に合わせると大分類や中分類だけでは、まかないきれないかと思います。
地域指数
地域指数とは別添③にある県別、エリア別(ハローワーク別)に毎年定められる地域を比較した指数となります、物価の高い所は高く設定されているように感じます。
この地域指数ですが、先ほどの賃金水準にて決定した基準値と大きく関わります。
実際に基準値が1000円の小分類251総合事務員を東京エリアで非正規雇用する場合には、都道府県地域指数である114.1を1.141として1000円の基準値に掛けることになります。
1000×1.141=1141
つまり、東京で総合事務員を雇い入れるには最低でも時給1141円払わなければいけないという事です。
逆に同じ関東でも群馬や栃木は地域指数が98.5等なので985円と基準値が下がります。
こうして決まった賃金基準値ですがその他にも、労使協定に定めるべきものがあります。
退職金と通勤費
自社で定められた退職金制度を非正規雇用にも適用するようにしていかねばならないというものです、中小企業では退職金制度を設けていない企業も多くあるのが現状です。
中には正社員にも払っていない退職金をなぜ非正規に払わなければならないのかとおっしゃる経営者のかたもいます。
自社雇用の非正規雇用に関しては自社のシステム(退職金制度がなければ無し)を適用すれば済むのですが、労使協定を採用する企業や派遣会社に関してはそうはいかないケースが出てきています。
労使協定を採用する場合、退職金制度の無い会社に関しては制度そのものを整えるか、または退職金を時給に反映させというものを時給に反映させ、先払いというう形をとり、非正規雇用者へ支払わなければならなくなります。
退職金を時給に反映する場合、先に挙げた基準値に地域指数を掛けた時給プラス、さらに6%を掛けた数値を時給として設定しなければならなくなります。
式にした場合
1000×1.114×1.06=1180
その他に、通勤費の定めもあります。
通勤費は時間当たり72円を支給するか、または実費を支払う事となります。
ここでいう72円を月計算した時、単純計算で12000円ほどの金額となり、ほとんどの企業が実費支給を採用することになるかと思います。
ここで一点、実費支給でも都内での電車通勤や公共交通機関を毎日使用した場合、月12000円よりも支給額が増えてしまうのではないかと思われますが、社則で上限を定めることが出来るかもしれないと、勤め先の社労士の先生が言っていました。
以上が4月から労使協定方式を採用した場合の0年級の説明となります。
能力・経験調整指数
別添①別添②の表には基準値(0年級)と書いてあります、その隣には1年・2年・3年・・・20年と続きます。
これは何かというと、労働者がその業務に従事した時を0年とし、その者の能力と経験が一般的な業務水準と比較したときに、どのレベルとなるかによって、1年級レベルとなるかまたは、過去に経験がありその業務を熟知していたりする場合は5年級レベルに当たる等の判断を使用者側が行いなさいというものです。
必ずしも、1年勤務したから1年級に時給を上げることではないという事を頭に入れておいてください。
だからといって、何年も0年級のままでいいのかというと、そうではなく
労働局側の話では、使用者側で非正規労働者の従事する業務に対して、評価基準となる経験能力評価テーブルを作成し、職務実績の把握、職務態度や生産性向上、資格取得等、労働者本人のキャリアアップを促しつつ、毎年評価し、1年級に相当するかどうかを判断するようにとのでした。
もちろんそれにより、一気に3年級や5年級になる方もいるかもしれません。
以上が労使協定方式の説明となります。
私自身も労働局の方に質問を投げかける形でいろいろ勉強中となりますので、もし間違った情報等あればご指摘していただけると嬉しいです。
4月までの短い期間での対応となり、みなさん大変かとは思いますが、有益な情報があればまた発信していければと思います。
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